工業製品のようなシードル?世界最大の生産量イギリスのシードル 2022年6月3日 by travesia with no comment シードルと料理のペアリングシードルについてダンカートン (イギリス) 優劣両極端のイギリスのシードル *イギリスではリンゴの発泡酒はサイダー(Cider)と呼ばれています。 イギリスは世界のシードルの半分近く生産・消費をしています。少なくとも、どのパブやスーパーマーケット、コンビニにもひとつはシードルのブランドが置いてあります。そしてイギリスは間違いなく世界最大のコマーシャル・ブランドを持つ国です。 しかしながら、質となると話は違ってくるようです。 イギリスには、シードルを名乗るのも厚かましいほどひどいお酒があるそうです。というのもドイツとフランスのりんご酒製造業者には地元産のりんごを使い加熱殺菌や 人口添加物を加えないりんご酒を生産してきた長い歴史がありますが、イギリスではシードルの加熱処理は政府規制にはなっておらずシードルが酢にならないよう安定した発酵を維持するために加熱処理を用いているシードルのコマーシャル・ブランドもあるからです。料理とお酒においては、イギリスには優劣両極端のものが存在するようです。シードルを名乗るのも厚かましいほどひどいお酒がある一方で、丁寧で伝統的な製法で作られた美味しいシードルもたくさんあります。 イギリスの台所には料理用リンゴが常にストック? そんなイギリスではシードルの原料となるリンゴがとても身近にあり、料理用のリンゴがあります。イギリスでは、ブラムリーと言えば、誰もが知る火を加えて使う料理用のリンゴ、クッキングアップルの中の王様です。世界中を見ても、イギリスのように料理用のリンゴの栽培が盛んに行われている国は他にありません。 一般の生で食べるデザート用のリンゴは酸が少なく、糖分が高い。ブラムリーはその反対で酸が多く糖分が少ない。そのため火を加えたときに強い酸味が残り、しかも水分がたっぷりと含まれているので「口の中でとろけるような」なめらかな味わいになるという特徴があるのです。 ブラムリーは、イギリスのりんご生産量20万トンのうち45%を占めるほどにイギリスの食生活に深く根付いています。じゃがいものように1年を通していつも台所にあるリンゴとして料理に、お菓子にと活躍しています。 インド植民地時代に取り入れられたアップル・チャツネ さて、そんな料理用のリンゴがあるイギリスでよく作られるリンゴ料理をいくつか見ていきます。 インドを植民地としていた時代にイギリスにチャツネが取り入れられたようです。イギリスでは甘さが強調され、果物に玉ねぎやスパイス、砂糖などを加えた、ジャムのようにトロッとしたものとなり、しかも保存の効くものになりました。 アップルチャツネはチーズと相性が良いので、チーズとパンと野菜を盛り合わせた、いわゆる農夫の昼食、ブラウンモンランチに添えられますし、チーズと一緒にチャツネを挟んだサンドイッチは定番中の定番です。または手作りのアップルチャツネを、おいしいクラッカーに乗せたチーズと共にするとお酒のおつまみ、オードブルにもなります。リンゴを使った料理とシードルは相性が抜群ですから、チーズとアップルチャツネのサンドイッチはシードルとよく合います。ぜひ、お試しください。 アップル・チャツネのレシピ ■材料(4人分) ・トマト 280グラム(皮を湯むきしてから刻む) ・りんご(ブラムリーもしくは酸味の強いりんごが望ましい) 280グラム(皮をむいて刻む) ・玉ねぎ 中1個(みじん切り) ・レーズンまたはソルタナ 280グラム ・塩 小さじ1と1/2 ・ミックススパイス 小さじ1と1/2 ・にんにくひとかけ(刻む) ・ブラウン・シュガー 150グラム ・モルトビネガー 300 CC ■作り方 1 トマト、りんご、玉ねぎ大きめのボールに入れる。ラップ際を軽くかぶせて、 電子レンジ(500W)で5分加熱する。 2 かき混ぜてから、再び電子レンジに戻してさらに5分電子レンジで加熱する。 3 残りの材料全てを加える。時々かき混ぜながら、弱火で煮る 。 4 もし、まだ水っぽいようだったら、様子を見ながらさらに煮込む。 5 熱いうちに保存瓶に入れる。 工業製品のようなシードルと発酵食品としてのシードル さて、冒頭の優劣両極端なイギリスのシードルに戻りますが、伝統的なシードルは、リンゴそのものを天然の有⽤微⽣物で発酵させてつくる発酵⾷品です。しかしながらイギリスでは濃縮果汁や添加物を使う、いわば「⼯業製品」のような飲料もシードルと呼ばれているの現実です。美味しい料理には美味しいシードルをペアリングし、料理とお酒、双方がお互いの美味しさを引き立て味わえるものにしたいですね。 イギリス・オーガニック・シードルの最高峰ダンカートン イギリスのシードル・ブランドであるダンカートンは35年以上にわたって、無農薬のりんごだけを栽培しています。最高の素材を選別し、丁寧にブレンド、長期間(最低でも12ヶ月)熟成させることで生まれる重厚な味わいは「DUNKERTONSのディープ・フレーバー」として知られ、100%オーガニックの英国正統派シードルであり、数多くの賞を受賞している極上クラフトシードルです。 ダンカートンについて詳しく ダンカートン・オーガニック・シードル・ドライ<辛口>(発泡性7.0%)渋みや酸味がはっきりした5種類のリンゴをブレンドし、7.0%という、しっかりとした飲み応えの辛口です。 世界最大級シードルコンテスト、2年連続で金賞を受賞。 甘みを排した、キレのある、芳醇な香りが特徴。 スッキリした香りの後に、重厚なリンゴの果実味と渋みが広がる、優しくも力強い味です。 ダンカートン・オーガニック・シードル・ブラックフォックス<中辛口>リンゴ10種類を使った、ダンカートンを代表する中辛口のブレンド。果肉の甘みと皮の渋みが重層的に広がり、優雅な余韻を残します。 圧倒的な果実味が特徴の、英国シードルの伝統に忠実なシードルです。 ダンカートン・オーガニック・シードル・プレミアム <中甘口>(発泡性6.8%)やや甘口の仕上がりですが、渋みの少ないリンゴに、キレの良い後味のリンゴを加え、甘さだけではない濃厚なシードルに仕上がっています。 皮のかすかな苦みをも含めた、果実をダイレクトに感じさせる官能的なブレンド。天然果汁から来る複雑で豊かな香りだと実感させてくれる逸品です。 Previous Post 日本から遠い国エストニアの豊かな食事情とシードルとのペアリング Next Post スペイン・バスク地方、美食の地をめぐるあれこれとシードル・その1