さすが美食の地と言いましょうか、老若男女、食への関心が強いようでバスクの男は料理上手と言われています。確かにバスク地方の家庭料理は豪快でシンプル。男の料理というレシピが多いようです。そして、バスクにはかつて女子禁制だった美食倶楽部という集まりが1500以上もあるそうです。(現在では、女性は美食倶楽部内で料理はできないが、その場と料理を楽しむことはでき、問題なく美食倶楽部に入ることができます。)
ガストロノミー協会のデータによると、バスク地方には1,552のガストロノミー協会が存在します。ギプスコアに785、ビスカイアに458、アラバ・アラバに214あり、会員数は3万2千人以上です。ギプスコアにこれらの協会が集中しているのは、19世紀半ばにこの歴史地区で生まれたからです。まさにそのドノスティア(*1)・サン・セバスチャンで、最初の美食倶楽部が誕生しました。
その昔、バスクの漁師たちは遠洋まで魚を追って何ヶ月も家を留守にしていたので、バスクの女たちは女家長となり家を守ったといいます。そんなことからお母さんたちは強くなり、怖い女家長から逃れるために男たちは美食倶楽部を作ったといわれています。
あるいは工業化が進み、田舎から都会への人口移動が進んだことで、農村部のシードルハウスを引き継いで、テーブルを囲む都会の出会いの場として、このようなスペースが出現したともいわれています。19世紀半ば以降、美食倶楽部はバスク歴史地域の他の地域にも広がってきました。美食家にとって美食倶楽部は、他では味わえないリラックスした雰囲気の中で、食べ、歌い、遊び、議論し、要求が高く社交的な美食家のパラダイスなのです。
現在のバスクの美食倶楽部ではその地域社会に向けた一連のサービスを提供していました。そのため、スポーツや文化などに関するさまざまなチャリティーイベントを開催するのが一般的でした。ドノスティア (*1) の大祭であるタンボラーダ(*2)で、これらの協会が重要な役割を担っています。