ダンカートンシードルを通して、私たちは、⼟を飲んでいる。
りんごの⽊がみずみずしく豊潤なりんごの実をつけるには、⼟の豊かさが⽋かせない。
⼟は、その⼟の上に暮らす植物や動物などの有機物を、⾍が分解し、⼟壌の微⽣物が発酵させることでできている。
りんごの⽊は、⼟に根をおろすことで、微⽣物が⽣み出した栄養分をぐんぐん吸収し、健康な果実をつける。
彼らは、りんごを⼿摘みではなく、あえて地⾯に落としてりんごを収穫する。何故ならば、彼らの⼟には、多様な有⽤微⽣物が⽣きていて、シードルづくりにとって⽋かせない⽴役者だからだ。
りんごの発酵には、最も酵⺟特有の⾹りのクセがないシャンパーニュ酵⺟を使うが、⼟に落ち、⼟地特有の微⽣物を纏ったりんごは、その⼟地独特の⾵⼟を奏でるシードルになるのだ。
シードルを飲むことで、私たちは、その⼟地の⼀部を取り込み、
⽣態系の⼀部となる。
ダンカートン⽒は、83歳にして⾻⾁腫で息をひきとることとなる。
妻スージーも程なく引退し、今は、息⼦のジュリアンが家業を引き継いでいる。
ダンカートン⽒が⽣み出した新たな⽣態系は、
イギリスで最も尊敬されるオーガニックシードルを通じて、今も絶え間ない循環を保ち、⽣き続けている。