彼が目指すシードルは、パブで飲まれるような、クラフトビールと比較されるようなものではなく、レストランのワインリストに、シャンパーニュと並んで紹介されるような、リンゴのスパークリングワインです。
原材料としてのリンゴは、ブドウに比べて糖分の少ない果実です。シャンパーニュ方式の瓶内二次発酵のシードルをつくるのは技術的には難しいと言われています。
リンゴのスパークリングワインをここまでエレガントなものができる、という品質面を辛抱強く丁寧に伝え続けている印象を受けます。
オーガニックであることもそこまで熱心にアピールしていませんが生産者としてはオーガニック認証を取っています。認証取得のコストの問題もあるので、ひとつずつ取得していると言っていました。アルバル・ロージマ(Alvar Roosimaa)氏がつくるヤーニハンソの品質、醸造技術といった面では、現在日本で流通しているシードルの中では間違いなくトップクラスに入るものです。
彼のシードル造りは海外でも知られていて、シャンパーニュ方式による醸造技術についてのセミナーに、講師として招かれることもあるほど高く評価されています。ヨーロッパだけでなく、アメリカやブラジルでも、講演をしたことがあります。
世界的に知られていたバルセロナ近郊の「el Bulli(エル・ブジ)」を手がけたアドリア兄弟のプロジェクト、「elBarri(エル・バリ)」の中核レストランである「Enigma Concept」では。同店のヘッドソムリエ Chritsina Losad から直接連絡を受けいくつかのアイテムが採用されています。
また雑誌『Bon Appetit』※ が選ぶ Best New Restaurant で2018年に No.1 に選ばれたオクラホマシティの NONESUCH でも採用されています。ヤーニハンのシードルは新しい味覚を求める新進気鋭のレストランにアピールするものがあるのです。 (※発行は GQ, The New Yorker, Vanity Fair, Vogue などの米コンデナスト社)