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バルト海の真珠ラトビア、シードルの国際的コンテストで認められる国

ラトビアの首都リガはバルト海の真珠

ラトビアはヨーロッパの北東部に位置し、北はエストニア、南はリトアニア、東はロシアに接するバルト三国の真ん中にある国です。ラトビアの首都リガは大変美しい都市で「バルト海の真珠」と称されています。1997年にはリガ歴史地区として世界遺産に登録されました。 

リガのアール・ヌーヴォー建築

ラトビアの首都リガの美しさを特徴づけるのはアール・ヌーヴォー建築の数々です。有機的な形や自然からインスピレーションを得たこの様式は、20世紀初頭に人気を博しました。アール・ヌーヴォーの流行と同時に建設ブームが起きたため、リガには数多くの名建築があります。産業革命によりラトビアは豊かになり、それに伴う建築物の増加により、リガでは40%の建物がアール・ヌーヴォー様式で建てられました。リガ・アール・ヌーヴォーの建築には、自然や花のモチーフを取り入れたもの、垂直的な規則的なラインが建物の表面にリズムを与えているもの、民俗的なモチーフを取り入れたものなど、様々なサブカテゴリーがあります。アール・ヌーヴォー建築の街の探索はラトビアでの最高の楽しみ方のひとつでもあるのです。 

詳しくはこちら:ラトビア首都リガの世界遺産アール・ヌーヴォー建築群を歩 

バルト海と北方気候

バルト海に近く、夏の夜が明るく、気温差が大きいラトビアの気候は、リンゴ、ナシ、サクランボ、プラム、カシスなど北欧の様々なベリー類や果物の栽培に適しています。過去10年の間に、バルト海産シードルの共通の特徴が形成され、スカンジナビアやロシア産のシードルと差別化されるようになりました。ラトビアは、世界でも新しいシードルの国のひとつといえるでしょう。

シードル用リンゴとその他の果物・ベリー類

ラトビアの伝統的なシードルは、地元で伝統的に栽培されている秋冬用のリンゴや、酸度が高くシードルの化学的安定性に優れ、フェノールやタンニンによって興味深い構成とより複雑な風味を持つカニリンゴ、野生リンゴから作られています。ここ数十年、ラトビアでは、糖度が高くアルコール度数の高い、タンニンの少ない、ドライな味わいの新品種のテーブルリンゴが開発されています。そのため、ラトビアのシードルには、北米産のコートランド種のような、甘みと香りのバランスがとれた食用リンゴも使われています。 

カニリンゴ

現在ラトビアで最も多く栽培されている果樹はリンゴですが、古くはカニリンゴ(野生リンゴ)しか見かけなかったそうです。数百年前にドイツからラトビアに初めて大粒のリンゴが持ち込まれ、荘園の庭で栽培されるようになりました。その後、スウェーデン、ロシア、リトアニア、ポーランドから多くの品種が導入されました。現在では、ドベレとプーレにあるラトビア生命科学技術大学の園芸研究所(Latvia University of Life Sciences and Technologies)が、ラトビアのリンゴの木の遺伝子の保存と新しい品種の育種を担っている機関です。   

優れた適応性とリンゴの遺伝的多様性は人間の2倍以上であることが研究により証明されており、進化の可能性があることを意味しています。リンゴの種を植えると、親とは全く異なる木ができます。そのため、ラトビアのリンゴ酒メーカーと園芸研究所は、ラトビアのリンゴ酒作りに特に適した新しい品種の開発実験を続けているのです。シードル作りはリンゴを選ぶところから始まります。 

ラトビア産シードルの特徴とは?

当然のことと言えますが農産物はその土地の土壌と気候に影響を受けます。 

ラトビアのリンゴの個性は以下の土壌と気候から作り出されます。 

・土質が壌土(小石を除いた土壌中に粘土をある程度含むもの。作物栽培には好適。)である。 

・夏は酷暑がなく涼しい。 

・1年を通して冷涼な気候のため、比較的植物の休眠期が長い。 

こういった気候と土壌で育ち収穫されたリンゴから作られたシードルは香り高く、独特の酸味があります。雑味がなく澄んでいて、甘酸っぱい、または淡麗な辛口と表現され、リンゴの香りが際立ち、中程度から軽めの心地良い風味を持ち、特別なタンニンを持ちません。ラトビアではリンゴが非常によく育つので、シードルはまさにラトビアの飲み物ともいえます。 

白ワインのようなエレガントさを持つシードル

シードルは、シャンパンのように辛口でスパークリングなものから、ビールのようにクールで爽快なものまであります。辛口、半辛口、甘口のサイダーには、柑橘類、果物、花、バニラ、キャラメル、あるいはスモーキーな草や耕した土など、さまざまな風味や香りのニュアンスが感じられます。おいしいワインがブドウの味や香りだけではないのと同じように、リンゴの味だけではないのです。

それぞれのシードルの味や香りの背景には、その土地の土壌や気候、使用されているリンゴの品種、そして作り手のスタイルなど、ストーリーがあります。シードルは、3.5〜8%という比較的低いアルコール度数でワインの代替品として最適です。シードルには様々な種類があり、自然な酸味もあるので、どんな料理にも合うのです。シードルは、社交的な夜の集まりやブランチ、ランチなどのシーンで「ワインではアルコール度が高すぎる。ビールではお腹がすぐにいっぱいになってしまう。もっと軽いアルコール飲料がいい。」というときに最適です。 

繊細な味わいの料理との組み合わせは、ワインだけに限りません。ラトビアのシードルは料理を圧倒するのではなく、その繊細な風味を際立たせるのです。シードルの製造技術も大きな影響を与えており、ラトビアで生産されるシードルの多くは、フランスやイギリスで使われている伝統的な製法とは異なっています。ここでは、シードルはより白ワインに近い製法で作られています。 

ラトビアのリンゴやシードルについてでした。ラトビア産のシードルは本当に美味しく、香り高く甘みと酸味とかすかな苦さの配合が絶妙です。実際に味わっていただくと、納得していただけること間違いなしです。コアなファンも多いのですが、日本ではなかなかラトビアという国の認知度が低く、あまりシードルの国というイメージがないようです。現在では、ラトビアのシードルはドイツ、スペイン、そして日本の国際的なコンテストで認められ、賞を授与されています。 

バルト海の天才醸造家マルティンス・バルカンスのシードル

ラトビア最大の通信社でCEOを務めていたマルティンス・バルカンスはそれまでは前人未到の挑戦であった、ラトビアの寒冷な気候の地域では適さないブドウの栽培を始め、アバヴァス・ワイナリーを経営しています。アバヴァスのシードルは2010年に設立されたアバヴァス・ワイナリーで作られています。 

アバヴァス・ホップ・シードル<中辛口>(発泡性7.5%)

数種の天然リンゴ果汁を熟成させた後、シトラホップを加えてブレンドし、さらに熟成を加えます。ほのかな柑橘系の香りと同時に、爽快なホップの香りが立ちのぼる、中辛口のスパークリングです。口の中に広がる優しい余韻は、ホップ・シードルならではのクセになる体験です。750ml / 330ml 7.5%

アバヴァス・シードル・ミディアム<中辛口>(発泡性7.5%)

地元品種を8ヶ月間低温で熟成させてからブレンドした中辛口のスパークリングです。メロンを感じさせる香りの後に、甘すぎずスッキリとしたリンゴの余韻が続きます。果実味が開くのに若干時間がかかります。食前酒として、移りゆく香りをお楽しみ下さい。750ml / 330ml 7.5%

アバヴァス・シードル・ブリュット<辛口>(発泡性8.5%)

酸味と渋みの強い3つの地元品種を、発酵後、8ヶ月間低温で熟成させてからブレンドしています。レモンを思わせる青リンゴの酸味は、リンゴのお酒というより、辛口のスパークリング白ワインのようです。権威あるフランクフルト・国際シードルメッセ2017で金賞を受賞しています。750ml / 330ml 8.5%

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