リンゴのビタミンCで壊血病を予防 – 船乗りの命を守ったシードル 2022年2月1日 by travesia with no comment イサステギ (スペイン・バスク地方) 大航海時代に活躍したバスク地方の船乗りを支えたのがシードルだったのはご存じですか? 酸っぱいリンゴを発酵させた爽やかなシードルは、ビタミンCなどリンゴの栄養価をそのまま閉じ込めた、低アルコールの果実酒です。お酒なので水のように簡単に腐敗せず、長い航海の間、壊血病(ビタミンCの欠乏で起こる病気)から船乗りを守りました。 バスク地方は世界有数のシードル生産地 スペインとフランスの国境、大西洋岸に沿って広がるバスク地方は、固有の言語と文化で知られています。海から山にかけて広がるまばゆいばかりの景色と、豊かな自然から生まれる食材を活かした美食の土地として、近年日本でも有名になりました。しかしバスク地方の人たちにとってシードルが生活に欠かせない命の水だった事実はまだまだ知られていません。酸っぱいリンゴを発酵させた爽やかなシードルは、ビタミンCなどのリンゴの栄養価をそのまま閉じ込めた、低アルコールのリンゴのお酒です。自然な製法でつくられたバスクシードルは、長い航海の間、壊血病(ビタミンCの欠乏で起こる病気)から船乗りを守りました。科学の発達していない当時は「なぜバスク地方の船乗りだけが病気にかからないのか」謎だったそうです。 原産地呼称「バスク地方のナチュラル・シードル」 そんな長い伝統を持つバスクのシードルづくりですが、これまでバスクの外では知られていませんでした。しかし2017年に原産地呼称「Euskal Sagardoa (バスク語で ”バスクのシードル”)」が定められて以降、品質はより向上し、人々の健康志向にもマッチして、多くの注目を集めています。原産地呼称のルールで使用が認められているのは、バスク地方原産の、主要24品種を含む115種類のリンゴ品種だけです。酵母はリンゴの皮に付着している天然のものしか使用を認められていません。また砂糖を加えたり、炭酸を充填することも認められていません(バスクシードルはソフトな微発泡です)。フィルタリング(濾過)も許されていません。なお、糖分は1リットルあたり4.0グラム以下(還元糖)と定められています。 甘くなく、むしろ酸っぱく、幅広い食事に合う バスクシードルの特徴はなんといっても「ドライさ」です。原料は100%リンゴのみ。でもそれは日本のリンゴとは違って、渋かったり、苦かったり、酸っぱかったりするシードル専用のリンゴです。「シードルアップル」はタンニンを多く含みます。そして、それでつくられたシードルは、心地よい微発泡も手伝い、まるでワインのように食事の脂を流します。サラミ、ソーセージだけでなく、焼肉や焼き鳥といったタレつきの料理まで。酸味の立ったリンゴのお酒が、とても幅広い料理にマッチするのは新鮮な発見です。 飲むときは高いところから注いで! 幅広い食事に合い、低アルコールで、おなかが膨れにくいお酒は意外と見つからないものです。リンゴにはたくさんのポリフェノールが含まれています。バスクシードルは、リンゴをそのまま凝縮した、素朴なリンゴのお酒です。ボトル一本には1.1kgのリンゴが使われています(750ml)。濾過していないので食物繊維ペクチンが豊富に残っていて、腸にも優しいお酒です。バスク地方のバルに行くと、みんな瓶を持ち上げてリンゴのお酒をコップに注いでいます。これはリンゴの香りを引き出すため。30-60cmぐらいの高さから注いで泡立てると、爽やかな香りが広がります。特製のコルクを使えば意外と簡単。テーブルを囲んでこれを行うと、とても盛り上がります。みんなで楽しく注ぎ合いましょう。 バスク地方のシードルの開け方、注ぎ方 イサステギ・酸化防止剤無添加 ナチュラル・シードルイサステギ・酸化防止剤無添加ナチュラル・シードルは、バスク産のシードルであり、20種類ものリンゴの天然果汁だけでつくられた、素朴なリンゴのお酒です。原料はリンゴのみ。甘くなく、食事に合い、ペクチンやリンゴ・ポリフェノールなど、抗酸化作用があるリンゴ健康成分もそのままです。 スペイン・バスク地方イサステギシードルについて詳しくはこちら関連記事:スペイン・バスク地方、美食の地をめぐるあれこれとシードル・その1 スペイン・バスク地方、美食の地をめぐるあれこれとシードル・その2スペイン・バスク地方で、酸っぱいシードルに出会う – 様々な味わいの酸味を発見 バスク地方スペインからフランスへ、シャネルの転機の地ビアリッツ Next Post サン・セバスチャン旧市街のバルで、魚介のピンチョスと、酸味のきいたシードルを